<ご挨拶>

東京女子医科大学 小児科 教授 小国弘量

ケトン食療法は、低炭水化物、高脂肪食を摂取することにより体内に多量のケトン体を産生維持し、薬剤治療抵抗性のてんかん発作を抑制する食事治療法です。ケトン食療法は、非常に強い抗けいれん作用を持つにも関わらず眠気や鎮静作用などの副作用が少ないのが特徴です。そのため小児の難治性てんかんを主な対象として使用されてきましたが、最近ではグルコーストランスポーター1欠損症の必須の治療法としても注目されています。ただし今まで日本において普及してこなかった原因として①炭水化物主体の食習慣である日本では脂肪分主体のケトン食は食しにくい、②ケトン食療法には成書に記載されていない様々なノウハウが必要で経験が必要である、③ケトン食療法は、専任の管理栄養士がいないと適切なケトン食の献立、作成の指導ができない、等の理由があります。しかしながらケトン食療法の全世界的な普及の流れにのって2016年よりてんかん食として保険適応が付与されました。東京女子医大小児科では、下記のようなケトン食療法に関して長い歴史と経験があります。

東京女子医科大学小児科におけるケトン食療法

1968年 当科故福山名誉教授により古典型ケトン食療法を日本で先駆けて導入
1977年 田島による古典型ケトン食療法51名の報告(脳と発達 1977)
1982年 MCTケトン食療法を導入
1984年 福山によるMCTケトン食療法21名の報告
2007年 修正アトキンス食変法を導入
2008年 伊藤らによるGLUT1欠損症へのアトキンス食変法の報告(Brain Dev 2008)
2009年 小国らによるMCTケトン食療法42名+古典型ケトン食療法12名の報告(脳と発達 2009)
2016年 小国らによるケトン食療法93名の報告 (2016年アジア・オセアニアてんかん学会)
⇒以上、現在は古典的ケトン食療法、修正アトキンス療法、ケトンミルク療法(乳児)、MCTケトン食療法を実施している。

このように幅広いケトン食療法の導入で、従来は対象年齢が2~8歳頃が適応とされてきましたが現在、当科では乳児期から成人期までケトン食療法を行っています。そのすばらしい有効性から、その導入時期に関して最後の治療手段ではなく2~3剤の抗てんかん薬が無効であれば早期に開始することが世界的に推奨されています。

 

東京女子医科大学 小児科 助教 伊藤 進

私とケトン食療法の出会いは、2007年に米国から日本に初めて「アトキンス食変法」を取り入れ、世界で初めてグルコーストランスポーター1型(GLUT1)欠損症の患者さんに行ったことに始まります。現在は、ウエスト(West)症候群、ドラベ(Dravet)症候群、レノックス・ガストー(Lennox-Gastaut)症候群を含む多くの難治性てんかんの患者さんにも行っており、ぜひご相談をいただければ幸いに存じます。

東京女子医科大学 栄養課 管理栄養士 橋本泰子

ケトン食は2016年度診療報酬で特別治療食に認められましたが、まだまだ認知度が低い食事療法なうえに、取り組む家族には多くの負担があります。そんな負担が少しでも取り除かれるとともに、美味しい食事になるよう取り組んでいけたらと思います。又、社会からの認知度を深められるよう啓発活動も積極的に行っていければと思っております。

<主な取り組み>

・ケトン食療法専門外来(毎週木曜日午後:医師による診療、栄養士による栄養相談)
・ケトン食療法多職種間連係会議
・ケトン食療法セミナー

<問い合わせ窓口>

小児科 伊藤 進

 



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